並行品のフランクミュラーを購入すると、オーバーホールや修理を行いたいと思っても正規店でのオーバーホールや修理をうけることができないので、自分でオーバーホール業者を探すことになる。ここでは時計修理業者である白金堂 にオーバーホールを依頼した体験記を紹介。
機械式時計は3年から5年ごとに時計内部のメンテナンスであるオーバーホールが必要。これを行わないと、徐々にフランクミュラーが劣化していき、末永く使うことができない。ただし、並行品のフランクミュラーのオーバーホールは、正規店では受け付けてくれない。そのため一般の時計修理業者に依頼することになる。ここでは一般の時計修理業者である白金堂にオーバーホールを依頼した際のことを紹介する。
並行店で約5年前に購入したカサブランカ。ステンレススチールのブレスレットで使用頻度はそう多くないので傷も少ない。問題なく動くが精度までは未把握。バックルの結合部分に汚れが溜まって動きが滑らかではない。
時計店はショッピングセンターなど様々なところに存在するが、時計を修理できる店舗となってくるとその数は限られている。更に、機械式時計のオーバーホールが可能な店舗になってくると非常に少ないのが現状。というのも、オーバーホールや修理を行うには高い技術と交換パーツが必要なので、フランクミュラーのオーバーホールをお願いできる店舗は少ない。
また、大手の時計修理業者であってもフランクミュラーのオーバーホールを受け付けてくれないところもあり、例えば大手時計修理業者の千年堂は、ロレックスやオメガのオーバーホールや修理は受け付けてくれるが、フランクミュラーのオーバーホールが可能かどうか問い合わせたところ、「純正部品の入手ができないため修理を控えさせていただいております。」という返答で対応不可だった。
オーバーホールを時計修理業者に依頼する際、価格は非常に重要な要素。そのため、できるだけ安く交換できる業者を探してみた。
オーバーホールと一言で言っても価格は店舗によって異なるうえに、時計内部の状態によってその費用は大きく変動する。例えば、内部の部品を交換する場合はその部品代が別途必要になるうえに、一つ一つのパーツの価格は非常に高価。
様々な時計修理業者がホームページにオーバーホールの価格表を掲載していてもあくまで参考程度のものだが、ある程度の指針にはなるので、複数店舗でオーバーホール料金を比較してみた。
店舗名 | 金額 |
---|---|
正規店 | 60,000円~ |
WATCH COMPANY | 35,000円~ |
宝石広場 | 41,000円~+12,000円(外装仕上げ) |
シエン | 30,000円~+7500円(新品仕上げ) |
クロンヌ | 30,000円~+\27,000~(ポリッシュ仕上げ) |
白金堂 | 38,000円~1年間の修理保証 |
※価格は2017年4月時点のもの(実際に申し込んだ時点とは価格の上下あり)
並行店で購入したフランクミュラーなので、正規店でのオーバーホールは行えない。また、先に説明したとおり、オーバーホールを行ってくれる店舗は限られているので必然的にインターネット上で探すことになる。
また、インターネット上で申し込む場合、返送用の箱や緩衝材などの資材一式が入った発送キットを家まで送ってくれるので、自分で100円均一ショップに出向いて箱や緩衝材を購入する手間もない。また、オーバーホールが完了した時計は宅配してくれるなど、基本的に手間がかからない。
さらに、修理業者は見積もりを行ううえで時計を開封してから見積もりを行うのだが、自分が店舗に赴く必要がなく、店舗で長い時間待つ必要もないため、忙しくて時計修理店に行けない人にも適している。
もう一つ、支払いは基本オーバーホールされた時計が戻ってきた際に代引き払いになるが、カード払いが可能なためわざわざ現金を準備しておく必要もないところも手間が少なく便利。
大切な時計を預け、オーバーホールを依頼するため、信頼できる時計修理業者かどうかは非常に重要な要素。例えば技術力の低い業者に依頼した結果、すぐに動かなくなったり防水性能が著しく落ちてしまったりする可能性もゼロではない。
信頼性の高さはそれまで修理した時計の本数やネット上の口コミを参考にして調べた。白金堂については実際にフランクミュラーをオーバーホールした人の体験記などを参考にした。
もう一つ、店舗とのやり取りも信頼性を測る一つの指数にもした。複数の店舗に見積もり依頼や質問などを行い、見積もりキット送付からその後のメール対応など、きちんと対応してくれるか、対応速度は早いかなどを判断材料にした。
オーバーホールと一言に言っても修理業者によってサービス内容は異なる。内部の点検・掃除は共通だが、ケースを新品同様の輝きに変える研磨は有料オプションのところもある。他にも時計を郵送の場合の送料が必要な業者や、見積もりも有料の業者など多種多様。
白金堂はこれらの費用がかからなかったので、オーバーホール以外のプラス料金が不要だったことが選んだポイントの一つ。
項目 | 有料 or 無料 |
---|---|
見積もり | 無料 |
見積もりで断った際の返送費用 | 有料 |
オーバーホール完了後の返送費用 | 無料 |
代引き手数料 | 必要 |
インターネットで申込。申込時に事前に時計の状態を伝えておき、だいたいのオーバーホール料金を教えてもらった。その時の金額は30,000円前後とのこと。内部も見てもらっていない状態なので概算しかわからないのは当然なのであくまで参考程度に考えておいた。
申込より2日前後で返送用のキットが送られてきた。フランクミュラーは精密機器なので振動に弱く、緩衝材を幾重に巻いて厳重に梱包する必要がある。箱以外にも返信用送り状が入っていたので、わざわざコンビニなどで発送用伝票をもらって記載するような手間もなかったので便利。(2017年4月時点では返送箱などリニューアルされている模様)
フランクミュラーを専用の箱に入れて返送する。なお、問診表が同封されていた。その後のやり取りをスムーズに行うためにも、破損している点や修理してほしい点、逆に研磨してほしくない部分などを記載するとのこと。
到着後到着確認メールが届く。日本の発送業者のクオリティは世界でもトップレベルだが、それでもフランクミュラーは非常に高額なものなので、到着確認メールが届いて一安心。到着確認メールには自分専用のマイページアドレスとパスワードが記載されており、到着時の時計の写真などが確認できる。なお、このマイページ、オーバーホール完了して家にフランクミュラーが届くまで一切見ていないが、特に問題はなかった。
修理店到着から10日程度で正式な見積もりが提示される。 この見積もりにメールで承認をするとオーバーホール作業開始となる。
なお、ステンレスブレスの動きも改善されるかどうか確認したところ、
汚れなどの詰まりが原因で可動が悪くなっていた場合は洗浄にて汚れを除去することで、多少改善される見込みがあると思われます。
しかし、ベルトのコマやピンの全体的な劣化が原因であった場合、劣化の修復は出来ないため、現状のままとなります。上記の場合は、ベルト交換が必要となり純正ベルトを保持しているメーカーでの交換対応のみとなります。あらかじめご了承の程お願いいたします。ベルトの洗浄で宜しければ対応させて頂きます。
という返答をもらい、見積もりも当初聞いていた価格とそう大きく違わなかったのでオーバーホールの正式依頼を行った。
3週間程度で完了メールが届く。完了メールの1~2日後には代引きで時計が届くので、お金の準備を行う。なお、送付の際はヤマト運輸の代引きで届くことに。到着の希望日や時間帯などを事前に聞いてくれるので、自分の都合に発送を合わせてくれるのでありがたい。
発送後は問い合わせ伝票番号を事前に知らせてくれるので、直前に対応できなくなっても別の対応できる時間などをヤマト運輸のサイトで調整しておけばその後がスムーズに。
インターネットで指定した時間帯でヤマト便にて到着。事前に金額がわかるため、お釣りの出ないように準備しておくとスマート。事前に伝えておくことでカード払いも可能。
このような箱に入っている。
梱包も厳重。
オーバーホールされたフランクミュラーが入っていた。
新品のような美しさに。
動きが悪かったバックル部分もスムーズな動きに。
35,208円(2015年12月時点の金額)
時計発送より約1ヶ月
忙しい時期だったので、店舗に足を運ぶ時間がなかった時期にオーバーホールを依頼したが、やり取りはメールだけで問題ないので自分の都合に合わせてやり取りができた。また、時計発送も必要な資材は全て揃っているだけでなく、ヤマト運輸に回収依頼すれば、配送の人が家まで回収に着てくれるので、荷物を出しにいかなくて良く手間が少なかった。
あと、ベルトは汚れが原因だったので洗浄してもらうことで動きもスムーズになって一安心。一方でコマやピンが劣化の場合は修理できず、ベルト交換を行うことになり、純正品をフランクミュラー正規店に依頼することになるため、取扱にはある程度の注意が必要。
正規店に依頼すると60,000円以上かかるオーバーホールなので、時計修理専門業者に依頼して費用を抑えても何の問題もないと考える。>白金堂
<金額やサービスは2015年12月時点のものなので実際に依頼する際は注意が必要>
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